【異世界行ったら】21、王妃とお茶会(後編)

異世界行ったらハシビロコウ

21、王妃とお茶会(後編)

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『これで大丈夫だろ』

『助けて欲しいとは言ってません』

美脚の鶴に助けてもらったが死んでも構わなかったので嫌味を言ってみる。

『ずいぶん捻くれてるんだな。そんなお前についでにこれをプレゼントだ受け取れ!』

▽コウはファンファーレを手に入れた。そんな文字が頭の中に浮かんだ。

いや要らねぇし。

『人の話聞けよオイ』

『お前がこれから行く世界には帰り道が幾つか存在している』

『世界?どういう』

『加護がないときついからな、生き残れよ!』

ガシッ

『え、はあ?!』

鶴に鷲掴みにされたと思ったら勇者の隣に勢い良くぶん投げられ視界がシャットアウトした。

「―――で、目覚めたら知っての通り召喚の間でした」

・・・・・・・・。

コウの話を聞いた者は一様に信じられないという顔をした。

「…信じられないんだけど」

「言いましたよ”信じられない話”だと。…ただ最後、投げられたときに鶴を見たら全体が

オレンジのキレイな鳥の姿でした。あれはどっちが擬態なんでしょう?」

「興味深い話ね」

「あれの正体を知りたいので図書館に入らせて下さい」

「…それは出来ないけれど心当たりがあるからその本だけ後で渡すわ」

「十分です」

「正体が分かったら私にも教えてね」

王妃の言葉にコウは頷くだけに留めた。

「…聞き忘れていたことがあったんですが。」

「何かしら?」

「なんで陛下や王女じゃなく皆は王妃呼びなんです?」

「この国は一枚岩じゃないというだけよ。」

ニッコリ笑った王妃に(だろうなー)と内心同意する。スライムを用いて城の偉そうな連中を観察したが派閥が違う者同士が居ると大抵目が笑ってないし殺伐としていて寒かった。

「ふーん、ま、どうでもいいです私には関係ありません」

「あら、関係あるわよ?」

「へ?」「え?」

意外だというようにコウと賢治は声を漏らした。

「今日から貴方は特務師団の一員ですもの」

「特務師団?なんですそれ」

「グレイの職場だからご存知よね?」

「あの研究所、窓際部署じゃなくてそんな名前だったんですか」

「…窓際ってそれはちょっと失礼だと思うよ」

「毛生え薬とか媚薬とか怪しい薬とかの研究ばっかでも?」

「うわ…」

白衣を着た根暗な研究者を想像をし、賢治は顔を引き攣らせた。

「貴方にはそう見えるのね」

「 ?見えるも何もそればっかりしてましたが」

「そう。あそこは派閥関係なく個人に依頼が入るからそのせいね」

「ああなるほど。って、一員ということはペット卒業?」

「惜しいわね、ペット兼一員よ」

「なんでまだペットなん!」

コウが悔しそうにバンっと両手でテーブルを叩くが王妃はゆったりとした動作で紅茶を飲む。

「グレイ」

「チッ」

飼い主の名前が挙がりコウは舌打ちをし不機嫌になった。

「今の貴方はグレイの抑止力になってるもの、手放したら危険でしょう?」

不機嫌になったコウを見てたまにグレイに世話になっている賢治は首を傾げた。

「抑止力?グレイさんは危険人物には見えなかったけど」

「…あれと手合わせしませんでした?」

「何度かしたことあるけど」

(あれの怖さをいまいち分かっていない?…手加減されてるのか)

「ハッ、さすが勇者その調子で死なないで下さい」

コウに鼻で笑われ賢治は腑に落ちなかった。

「その勇者ってやめて」

「いやだね」

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「王妃、公務がありますのでそろそろ…」控えていた従者が時間を告げる。

「じゃあお開きにしましょうか」

それを聞いたコウと賢治は席を立ち退席しようと

「あ、忘れてた」

扉に向かう前で立ち止まりコウは王妃の方をクルリと向いた。

「何かしら?」

「んー、無いかもしれないけどもし王妃が私の敵になったら…」

「なったら?フフッどうするのかしら?」王妃が余裕たっぷりで続きを促す。

コウは被っていたフードを取り顔を見た全員の顔が驚愕に染まった。

「あんたの血筋全員こうする」

皺くちゃになった顔(例のヨボヨボ)を見せしわがれた声で脅し敵になったら容赦しないと王妃に釘を差してみる。

初めてコウの顔を見た賢治はコウから一歩離れた。

(なんで顔が老け…。魔術?にしても気持ち悪…)

「…肝に銘じておくわ」

驚きつつも返事をした王妃を見たコウはさっとフードを被り「そうして下さい。」と元の若い男の声で言いその場を後にした。

扉が閉まりハッとなった賢治が慌てて部屋を出てコウの後を追う。

「ちょっ待ってまだ話しが!」

「大丈夫ですか」

「…ええ。この資料といい脅しといいあの子の扱いを改めなければならないわね。少し探りを入れて頂戴」

「かしこまりました」

「それと、グレイに監視を強化させます」

「お言葉ですが彼はグレイを嫌っています、これ以上刺激するのは…」

「昨日の件もあるし”あの子が危険な目にあいグレイの手元を離れたがっている”という情報を匂わせばグレイが勝手に縛るでしょう。厄介なペットだけど飼い主には逆らえないからそれを利用するわ」

「ではグレイが帰ってきたらそのように」

「頼んだわ」

二人が会話をしているテーブルの裏には透明なスライムが張り付き盗聴していた。

(ってことはしばらくグレイがべったり?うげぇ…)

スライムを通し話を聞いていたコウは胃がキリキリするのを感じた。

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