【異世界行ったら】16、ザ・ヨボヨボ

異世界行ったらハシビロコウ

グレイと愉快な仲間(仕事場の人)達に相談したら普通に術をやるより資料を元に創作魔法を組み合わせたほうがいいと判断、実験に使う薄暗い部屋で元の姿に戻る術を実行することになった。その際ライナー、ミシェル、ローラの三人が補助を申し出てくれた。

「俺達がサポートすっから思いっきりやってみ。」

「サポートはお任せ下さい。」

「報酬は貰ってるしちゃんとやるわよ。」

「報酬?」

「顔の傷、治してくれたでしょう。」

前にローラが化粧で隠していた顔の傷を【改変】で消したことがあったが些末なことなので忘れていた。

「そういえば薄化粧になってますね。」

「ジロジロ見るなさっさと取り掛かりなさい!」

「へーい。」

トコトコと部屋の真ん中に行き静かに術式を広げた。

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16、ザ・ヨボヨボ

その頃グレイは憮然としていた。

「そんなに気にすることか?」同僚の研究員が疑問を口にした。

「「失敗してハゲになるのは嫌なんでグレイは要りません。」か、クッ。」

「黙れヴァイス笑うな。」グレイがぎろりと睨むが迫力がない。

「…お前が入り大惨事になるよりはいいだろう。」笑いを消してヴァイスが真面目に言う。

「そのぐらい分かっている。」

「なら魔力を抑えろビリビリうるさい。」

「無理だあっちが気になってできん。」

「・・・・・・・・まじか。」「すまん努力はする。」「おう。」

「え、」「ちょっ!」「抑えっ!」「ちっ!」

「キャーーーーーー!!」

耳がつんざくような悲鳴が聞こえグレイ達は急いで部屋へ向かった。

バンッ

扉を開けると部屋の真ん中で煙が漂っていた。

「ぁ…。」ローラが顔を青褪めている。他の二人は神妙そうな顔で煙を見ていた。

「さすが高音、耳が死んだ…。」煙の中から性別不明の枯れた声がした。

煙が晴れると所々服が切り裂かれた白髪で長髪の人物が部屋の真ん中に座っていた。

片手で顔を隠しているが見るからに皺くちゃで老人に見える。

「あー、一応成功だけどこれジールさんよりヨボヨボ?」

「…確かにヨボヨボだな。」

「ああジールより酷いな。」

「ジールといい勝負だな。」

「性別不明のミイラだな。」

「お主らワシを何だと思っとるワシはまだまだピチピチじゃ!」

「女の子ならともかくじいさんがピチピチ言うなキモい。」ライナーが辛辣なことを言う。

「…ローラ。」ビクッ

呼ばれたローラは怯えていた。コウはまだ顔を手で覆っている。

「この姿が醜いのは理解しているのでもう少し静かに騒いで下さい、じゃないとハゲますよ、ジールさんが。

「ワシの頭は生涯現役じゃぞ!お主らなにを笑っとる!」

「気のせい気のせい。」

「…ごめん。」ローラはコウに謝るが俺と目が合った途端目を逸らした。

そのことに引っかかりを覚えたが俺はハッとし上着を脱いで急いでコウの頭に被せた。

「被っていろ。」

「…ありがとうございます、見ての通り失敗ですk「大丈夫だ人型になれたんだ成功だ。」

「…そうですかねー。」

「ああ。動けるか?」

筋肉があまりないのかふらつきながらコウが立った。

「…ふむ、生まれたての子鹿?」

後ろで小さく吹き出す音が聞こえ「もうやめろ」という声が聞こえた。

コウはゆっくり歩いている。

「俺が抱えて運んだほうが速い。」「え、嫌です。」

きっぱり言われたことに苛つきコウをヒョイと抱え素早く仕事場にあるソファへと運んだ。

「嫌だと言ったはずですが。」

コウはソファに座らされムスッとしながら抗議した。

「やらないとは言ってない、しかし軽かったな。」

「鶏がらなので。…この姿は不評のようですし一旦鳥に戻ったほうがいいですかねぇ。」

せっかく人の姿には戻れたのにため息が出た。

「できるのか。」

「できますが疲れたのでしばらくしてからでいいですか。」

「ああ。上着はそのまま被っておけ。」

「分かりました。――あと鏡ください。」

「ほらよ。」

ライナーが手鏡をくれたので顔を映す。(…確かにこれは見せられないな手で隠して正解だ。)

すぐ鏡を返した。「いいのか?」

「ヨボヨボなんて見てもしょうがないでしょう見るならピチピチの美女がいいです。」

「ハハ、確かにそうだな。」

「…できれば人型になれたことは秘密にしたいんですが。」

「どうしてだ?」

「巻き込まれたくないからですよ。」誰にとは言わない。疲れた声で言うと皆は色々察したようで快諾してくれた。

「王妃には報告するがいいか?」

「それは構いません。…しかしなんで髪が伸びてるんでしょう、防御のため?まさかハゲ予防?切ったらそこだけ鳥の時ハゲるとか?頭頂ハゲ?ハゲビロコウ?」

「おい想像するから言うな。」

いつも通りのアホなやり取りが続いた。

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ポヨン、ポヨン、ポヨン…

小さなスライムが弾みながら城の中を移動している。城の者達は見慣れているようで誰も気にしない。スライムは勇者と呼ばれる青年の前に現れた。

「スライム?モンスターがなんでここに?」

「ご存じないのですか?このスライムはグレイ様のペットで触ると幸運が訪れると今密かに人気なんです。」

近くに居た兵士が答えた。兵士がスライムを撫でると花びらを舞わせた。

「花弁かぁ、噂じゃハートが出るといいらしいですが勇者様もどうですか?」

「害はないのか?」

「ありません。ハズレを引くと周囲に笑われるぐらいです。」

「触るだけでいいんだな?」

「はい。」

勇者は恐る恐るスライムに触れた。

その瞬間スライムが光りでかいハートが出て勇者を包みこんだと思ったらハートがスッと消えた。

「!!」

「こんなにでかいハートは初めてみました!大当たりとはさすが勇者様!」

「・・・・・。」

兵士が感心したように言うが勇者はどこか上の空だった。

「どうしました、具合でも悪いのですか?」

勇者はハッとなり首を振った。

「何でもない…疲れが出てきたようだ部屋へ戻る。」

「そうですかごゆっくりお休み下さい。」勇者は与えられた自室へ戻っていった。

(…どうして俺は”ここ”にいるんだろう?)

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