【異世界行ったら】05、お喋り禁止

【小説】異世界行ったらハシビロコウ

05、お喋り禁止

術士の名前がグレイ=セプタグラムだということが判明した。

「俺の名前を知らなかったのか?」

「聞いてませんし呼ばなくても不便はないので特に気にしてませんでした。」

(これからも呼ぶ気なかったのに残念だ。)

「あ、俺はアッシュなよろしく!」朗らかに挨拶された。

「案内するのはいいがコウは喋らないでくれ。」

「おいおいなんでだよ別にいいだろそんぐらい。」

「分かりました危険が多いですからね喋らないことにしときます。」

別に喋ってもいいが厄介事に巻き込まれるのは勘弁だ。

「そうしてくれ。」

「なんだ訳ありか?」

「説明しないんですか?」「いらんだろう。」

「仲間はずれか?まぁ必要になったら言ってくれりゃあいい。それよか行こうぜ。」

物分りの良い弟で助かった。

スポンサーリンク

「どうだ久々の外は?」

喋れないので首を縦に振って答えた。

「そうか嬉しいんだな。」

「やはり散歩は必要なのか。」

「毎日じゃなくていいからやっとけよ。」「そうだな。」

後ろから会話が聞こえるが洋風の城なんて初日に少し歩いたぐらいだし部屋の窓からはあまり見れないしちゃんと見るのはこれが初めてで少し感動した。

にしても目線が低い。そういえば鳥だからそれに合わせて身長も縮んでたっけやだなぁこの姿早く戻りたい。

(…元の姿に戻っても身長が低いなんてなきゃいいけど。)

「ここが食堂だ。おい、誰かいるか。」

(さすが城、食堂が広い。)

グレイに呼ばれて厨房から恰幅のいいおっさんが出てきた。

「お?坊主が来るとは珍しいな。ん?後ろのでかい鳥はなんだ?」

興味深げに見てくるが外に出たら会う人会う人こんな感じで見られんの?うげぇ…。

「俺のペットで名前はコウだ。俺が忙しくて餌をやれない時はここで飯を取らせてくれ。」

「しかしだな衛生上動物は」

「毎日洗っているし厨房に入れなければ問題ないだろう。こいつは賢くこちらの言葉も分かる、ダメなら食堂の外でも構わない。それにこれは王から貰ったものだから雑に扱う訳にもいかない。」

うん、嘘は言ってないが完全にペット扱いだな…。

「ほー、坊主が王からねえ…。」

「…何だおかしいか?」

「いやなんでも、そういうことなら仕方ねえが厨房には入れさせんなよ入れたら下ろすからな。」

「恩に着る。」

「で、せっかく来たんだ何か食ってくのか?」

「お、コウに使い方を教えるためにもここで飯を食っていこうぜ。」

名案とばかりにアッシュが提案してきた。

「お前が食べたいだけだろう。」

「いいじゃんいいじゃん♪」

そう言って二人はご飯を注文し近くの椅子に座った。

「お前はここに来い。」

グレイに横に来いと言われたので近寄り待機したら頭を撫でられた。

「いい子だ。」

クソ、完全にペット扱いだな。

スポンサーリンク

「お待たせ致しました、こちらが本日の定食となります。」

「美味そうだなぁ。」

「定食なんて久しぶりだな。」

「っていうか兄貴は食堂自体が数年ぶりだろいっつも部屋に篭ってんだから。」

その言葉にグレイはハッとし「…そうだったな。」と呟いた。一瞬寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。

美味しそうな匂いなのでグレイを軽く小突いた。

「食べたいのか、少し待ってろ。」

構造上流動食しか食べれないため毎回ほぐして食べさせてもらっているが練習しようにも「顔や床が汚れるから食べさせたほうが早い」とグレイに言われ練習させてくれない。何の拷問だ自分で食べたい。

「(へぇ…。兄貴もこんな顔するんだな。)」

いつもどこか暗い顔をしている兄が今は明るく頬が緩んでいるのを見て弟は嬉しく思った。

「ん、もう食べないのか?」

少しで十分だったので頭で腕を押した。食堂で羽根を使うのは衛生上不味いだろう。

「兄貴が食ってないから食えってことだろ。」

「俺は別にいらんがイテッ」

いいから食えやと連続で突っついた。

「ハハハハハハハ!!」

「分かった食べるやめろ突くな!」

突くのを止めてさっさとしろと睨んだ。

「すげぇ顔芸だな!」笑いながら言われた。

「睨まなくても全部食べるから大人しくしてろ。」

通常の顔に戻した。

「すげぇ顔芸だな・・・。」

なぜか感心された。

←BACK  小説一覧  NEXT→

ランキングに参加しています。
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする